こんにちは。PMチームの @mokkey19930617 です。
2020/10/27にオンラインで開催されたプロダクトマネージャーカンファレンス2020に会社の制度を利用して参加させてもらったので、そのアウトプットを書こうと思います!
内容はUUUMの事業的に関連があるTikTokのPMについてのセッション①と、個人的にPMとして参考になったセッション②の2つについて、それぞれセッションの要約と個人的な学びについてです。
※以下、PMという記載はプロジェクトマネージャーではなく、プロダクトマネージャーを指しています。
セッション①
クリエイターファーストなTikTok PMの仕事
スピーカー
TikTok Japan 久保田アレクサンダー卓磨さん
TikTokのユニークな点
コンテンツのディストリビューションが他のUGCと異なる。フォローワーゼロでもコンテンツがバズる可能性がある。
プロダクトチーム体制
Regional PM
- 各地域のユーザーの体験を最適化する
- 担当地域に最適化したアルゴリズムをエンジニアと協力して作り上げる
- 担当地域のグロース
Feature PM
- 全ユーザーの共通機能を中心に担当機能ごとに開発をリードする
- 主にアプリのクライアント機能実装など全体的なUI/UXの最適化等
各地域で検証実験を行っていき、ベストプラクティスを地域間で横展開することで、グロースを加速する。
UGCプラットフォームのグロースサイクル
- コンテンツ制作: クリエイターが作成
- 視聴体験: フィードを通じて滞在する
- リテンション: 視聴体験で満足すれば、ユーザーが増えていき、コンテンツの種類が多様化していく
- コンテンツ制作: ユーザー(クリエイター・視聴者)が増える
キーとなるのはやはりコンテンツ制作なため、徹底してクリエイターファーストで開発を行っている。
しかしグロースサイクルがうまく回らないことがあり、TIkTokではAERフレームワークを使っている。
AERフレームワーク
Attract: クリエイターにそのプラットフォームへ移る動機を作る
フォローワーがいなくてもコンテンツが視聴者に届く仕組み
クリエイターからしても、どのプラットフォームに身をおくか悩むはず、どうやって安心材料を提供するかが問題。
TikTokではフォローしているクリエイターの投稿のみ表示するというフォローベースのフィードでなく、視聴者の興味ベースのフォードにすることで、新しいクリエイターでも平等にチャンスを与える仕組みになっている。 その仕組みによりフォローへの依存をなくし、視聴者に一番面白いコンテンツが届けることができる。
とはいえ、 フォローしているクリエイターの投稿は表示される。
なので、フォローベースと視聴者の興味ベースのフォードどちらかでもなく、いいとこ取りをしているという感じ。
Enable: クリエイターのポテンシャルの引き出し、活性化する
ネタ(アイデア)の民主化でコンテンツ制作のハードルを下げる
従来のコンテンツ制作の暗黙のルール: 一人で作る文化 完全なオリジナリティが求められる
コンテンツ制作の新しいルール: みんなで作る文化 ネタ、型をマネしやすい、MEME文化
※MEME: ネット上でユーザーがマネとアレンジを重ねて楽しみながら広がっていくコンテンツ
TikTokでは様々なツールを活用することで、みんなで作る文化、MEME文化を実現しコンテンツ制作の敷居を下げている。
Retain: クリエイターが長期に渡って活動でき、報われる環境を作る
ファンエンゲージメントとマネタイズしやすい仕組みを設ける
ファンエンゲージメント 動画で返信できる機能、ライブ配信機能をすることでファンを集める
マネタイズ ライブ配信でギフティング、クリエイターマーケットプレイス(ブランドとクリエイターのコラボ(プラットフォーム)
まとめ
クリエイターファーストの仕組みづくり(TikTokではAER活用)をすることで、グロースを最適化する。
個人的な学び・所感とか
会社・部門内でベストプラクティスを横展開はやった方がいい
プロダクトチーム体制のところで担当地域でのベストプラクティスを会社で横展開して、他の地域に応用するという仕組みは参考になるため、PMに限らず部署内でこう言った知見の共有は積極的に行った方が良いと感じた。
MEME文化は使えそう
MEME文化を取り入れ、動画のネタや型をテンプレ化してクリエイターに提供する仕組みは、UUUMが提供しているYouTuber向けのサービス: CREAS などのクリエイター向けの各種サービスを通じで実現可能であり、プロダクトの価値を高めることにつながるのではと思う。
フォローワー0でも評価されるコンテンツディストリビューション
また、コンテンツディストリビュートの方法が他のUGCと異なり、興味・関心ベースでフィードが表示される点や、そこにクリエイター全員に平等な機会を与えるという背景がある点も興味深かった。 UUUMが最近買収したREC.などでは応用する機会がありそう。将来的にUGCプロダクトに関わることがあれば、是非参考にしたと思えるセッションだった。
セッション②
いま、PMに求められる本質的な力 ~満足度No.1プロダクトを生む組織、3つの条件~
スピーカー
エン・ジャパン株式会社 岡田康豊さん
PMの成長に重要なこと2つ
- 土台となるテクニカルスキル
- 本質的なスキル
本質的なスキルを伸ばすには組織が重要なファクターである。
エン・ジャパンの企画開発部門にあった3つの課題
- あいつぐPM・エンジニアの退職
- 低いテクニカルスキル
- 外部パートナー1社の開発体制
そこでPMに必要なテクニカルスキルを6つの領域に分けた PM SkillChart HEX(ヘクス)を作成した。
チャート化して俯瞰することで現状把握し、キャリアを考え、やることを明確化
こちらのチャートを組織として打ち出し、PMの自己研鑽を組織的に促進することで、各PMの現状把握・必要なスキル・キャリアが明確になり、スキルアップをしていった。PJマネージメント能力も高まった。(ここ数年でHEXスコアが150%UP)
e.g. 自己研鑽して、統計スキルを身に付けデータ分析能力を磨いたり、プログラミングを学び自ら開発に参加したり、デザインから派生してフロントエンド開発を行ったり。
テクニカルスキルは重要だが、それだけでは不十分
テクニカルスキルはPMとしてとても重要だが、それだけでは不十分で、全てうまくいくわけではない。 加えて、テクニカルスキルの寿命は短く進化も早い。
必要なのは本質的な力。 また、その本質的な力を鍛える場がその組織にあるかどうかがとても重要。
本質的な力を養うことができる組織が押さえている3つのポイント
1. 抽象スキルの共通認識がある
PMには具体的なテクニカルスキルを持った上で、物事を抽象的に捉えて他者とコミュニケートする能力が必要。
Katz ModelでいうテクニカルスキルはHEXに定義されているスキル。 PMとしてはKatz Modelでいうヒューマンスキルやコンセプチュアルスキルがより重要である。
※Katz Model: 自分の職位が上がれば上がるほど、ヒューマンスキルやコンセプチュアルスキルが重要であるというキャリアの指針を示したモデル。
それらの抽象スキルを組織として定義し、共通認識とすることが重要。
e.g. エンジャパンのヒューマンスキルとコンセプチュアルスキルの抽象スキルのフレームワーク
考え方
- 自己変革性
- 目標必達性
- 多様受容性
- 周辺変革性
- 主観正義牲
- 自発利他性
- Enjoy-Thinking
能力
- 対人関係力
- 発想力
- 論理思考力
- 組織貢献力
上記の項目にそれぞれ定義があり、例えば自己変革性だと「自己の現状に満足せず、学習や研鑽に努め、自分自身の改善、革新に挑戦している」と定義されている。
ただ、これらのスキルは独学で学ぶことは難しいため、共通見解を持った上で相互干渉を積極的に行うことが必要。
2. 答えより問いを重視する
PMというのはプロダクト価値を提供するマーケットに対して問いを投げかけ続けなければならない。 向き合うべきは上司ではなく、ユーザーやマーケットである。
達成したい事象に対して、どれだけ多く、確度の高い問いを投げかけられるかが重要。 上司は答えを聞く相手ではなく、共に問いを探求する相談相手。
3. その組織がフィードバックループを回し続ける
大事なのは質より量。 e.g. エンジャパンでは毎日個人がデイリーレポートを書いている。また毎週水曜に朝会を行っており、毎回そこで誰かが自分の成果を共有する15分のピッチを行っている。
自身が他者に晒される機会を作って、フィードバックをもらいやすい環境を整えることで、承認・称賛に繋がり、個人の成長を促すことができる。
+X
私たちPMは、なぜ、何のために働くのか?と言った、仕事の価値観が結局重要。 最終的には個々のそう言った価値観がプロダクトに反映されていく。
Inner Calling的な価値観。 ※Inner Callingとは動物的な本能である利己と、相手のことを思いやる利他の両面を持っていることらしい。
https://corp.en-japan.com/profile/message.html
まとめ(岡田さんからのメッセージ)
プロダクトを通じて社会を変革できるPMこそが日本をよくすることができる人たちだと思うので頑張りましょう。
個人的な学び・所感とか
HEX(ヘクス)わかりやすい
まず、従来のプロダクトマネジメントトライアングルとエンジャパンのPM SkillChart HEX(ヘクス)を比べると大分わかりやすく、僕のような駆け出しPMとしては理解しやすく感じた。
実際に自分を評価してみたら全く足りないチャートがあって悲しかったので、頑張ります。
UUUMでもこう言ったチャートを使って能力評価を行ってもいいかもしれない。前回評価の時からチャートが広がってたらなんか楽しそう。
本質的を力を養う組織が押さえている3つのポイントについて
マネージメント層の方々、こちらの整備よろしくお願いします🙇笑
個人的には答えより問いを重視するが結構胸に刺さるポイントだった。 正直に振り返ると、仕様や機能を検討する際に、「まーあの人がああ言ってて意見変えなそうだし、正直微妙だけどもうこの仕様でいいか」という感じで決めてしまった経験がある。 やはり、現状で何がベストなのかを考え、PMとして納得した上で決断しないといけないと思った。
また、これはどちらかというと組織というより、個人の意識の問題な気もするので、PMであれば誰でも絶対意識した方がいいと感じた。
抽象スキル
めちゃめちゃどうでも話ですが、 岡田さんがPMに求められる抽象スキルを「具体的なテクニカルスキルを持った上で、物事を抽象的に捉えて他者とコミュニケートする能力」 とおっしゃっていて、表現自体が過不足なくめちゃきれいな表現だなーと思い感動しました。 こんな適切な言葉を使えるPMになりたいと思いました。笑
エンジャパン、岡田さんの資料かなり有益、ありがたい
岡田さんのnoteをはじめ、エンジャパンからいろいろな資料が無料公開されているのがありがたい。
岡田さん note
エンジャパン これからの時代に必要な入社後活躍力(仕事に関する価値観や本質的な力についてまとまっています)
終わりに
以上でプロダクトマネージャーカンファレンス2020から学んだこととかのアウトプットになります。 一日、会社のお金で学ばせていただき、ありがとうございました!